【遺産分割協議】多数の相続人(12名)との間で遺産分割交渉を行い分割方法を整理・交渉した事案
相談前
叔母が亡くなり、相続人が不明(のちに12名と判明、うち何名かは遠方居住)であり、遺産の内容も不明という状況で、ご相談に来られました。
相談後
ご依頼をいただき、まずは、相続人及び遺産を調査し、ご意向確認書及び相続人説明会を開催し、全員の意向調整を行い、遺産分割協議書を作成して解決することができました。
弁護士のコメント
(1)相続調査(相続人・相続財産)
本件では、叔母にあたる方が被相続人であり、叔母の兄弟姉妹(その代襲相続人)が多数おりました。
民法では、子及び配偶者が第1順位、直系尊属(ご両親)が第2順位、兄弟姉妹が第3順位とされております。
そのため、子どもや配偶者が不在の方が亡くなると、第2順位のご両親も亡くなっていることが多く、結果として、第3順位の兄弟姉妹が相続人になることがあります。
そして、兄弟姉妹もご高齢等で亡くなっていると、その子どもたちが代襲相続し、相続人が多数になってしまい、遺産分割が難しくなることがあります。
このような事態を回避するためには、遺言を作成しておくという方法があります。お子さんがいらっしゃらない方は、遺言を作成することをお勧めします。
本件では、連絡を取り合っていない叔父叔母や従兄たちがおり、そのようなケースも珍しくはないものと思います。
当事務所では、まずは戸籍関係を調査し、相続人を確定させ、各相続人の現在住所を調査したところ、総勢12名がおり、一部は遠方に居住していることが判明しました。
また、相続財産についても、不動産については名寄せを照会し、有価証券についても証券保管振替機構に照会後、各証券会社に照会して多数の遺産が存在していることを確認しました。
(2)相続人が多数存在する場合の工夫
相続人が多数存在し、うち一部が遠方にお住いの場合、全員での協議も難しく、論点を整理しないと、各相続人において意見の相違が五月雨式に出てきて、議論が紛糾してしまう可能性があります。
このような場合の工夫は案件によって異なりますが、本件においては、当事務所にて、相続人、相続財産の範囲及び評価を整理し、具体的な分割案を作成したうえ、ご意向確認書により交通整理をしました。
そのうえで、議論の整理が難しい論点に関しては、説明会を開催し、当事務所が交通整理をする形で、解決案を練りました。
最終的には、12名の相続人の皆様全員に協議内容に同意いただくことができ、遺産分割協議書を作成することができました。
(3)不動産及び有価証券の換価方法
当事務所の遺産分割交渉・調停・審判代理サポートにおいては、遺産分割協議書を作成するまでではなく、現実の相続手続までサポート範囲に含まれております。
本件のように、多数の相続人が関与し、遠方であったり、手続を自ら進めることに積極的ではない相続人がいる場合、どなたかが遺産を取得し、換価したうえで、分配するという方法をとることができます。
当事務所においては、不動産の換価(業者との連絡のやり取り等)、預貯金の換価(預金口座の解約等)、有価証券の換価(証券口座を開設し、売却手続等)、換価した財産を分配する手続(相続手続業務)までサポートしておりますので、このような方法を他の相続人の皆様に提案し、遺産分割協議をスムーズに進めることも検討できます。