【遺産分割協議】長年にわたり療養介護をしてきたことを寄与分として考慮し、取得額を有利に算定したうえ取得を希望する不動産を取得して代償金を支払う方法にて解決した事案
依頼主
女性
相談前
ご相談者様は、お母様が亡くなったところ、生前にお母様の療養看護に尽くしており、寄与分を考慮した形で遺産分割協議を行い合い、というご希望があり、ご相談に来られました。
また、ご相談者様の希望としては、お母様が所有していた不動産を取得したい、というものでした。
相談後
⑴ 寄与分の主張
ご依頼いただき、療養看護型の寄与分の主張を構成していきました。
療養看護型の寄与分に関する事情やその証拠を収集しました。当時のお母様の療養看護を要する状況であったこと及びご依頼者様が療養看護を行ったことを示す証拠として、要介護認定の認定調査票、ご依頼者様の看護記録などを収集整理して、説得的に主張を展開することができました。
⑵ 代償分割
最終的には、ご依頼者様の取得額を大幅に大きくし、寄与分を考慮して、不動産を取得して代償金を支払う方法にて解決をすることができました。
代償分割は、相続財産を取得して代償金を支払う方法であるところ、代償金の金額の算定において、寄与分が考慮できると支払う金額が下がるため、寄与分の主張が有効に機能したといえます。
弁護士のコメント
⑴ 療養看護型の寄与分
被相続人と相続人間には、夫婦間の協力扶助義務(民法752条)・親族間の扶養義務互助義務(民法877条1項)の義務があることが通常です。
寄与分は、これらの扶助義務の範囲・程度を超える、特別の寄与があったと評価できる場合に認められるため、一般に認められるハードルは高いといえます。
療養看護型の寄与分が認められるためには、①療養看護の必要性、②特別の貢献、③無償性、④継続性、⑤専従性、などの考慮要素に関する事情を、証拠を用いて説得的に主張・立証してくことが必要になります。
⑵ 代償分割
代償分割は、一部の相続人が相続財産を取得し、相続分を超える財産の額を金銭にて支払う方法です。
共同相続人が合意しない場合には、代償分割は特別の事情があるときに許される例外的な方法(現物分割ができない、現物分割によると財産額を減少させるおそれがある、特定の遺産に対する相続人の利用状態を保護する必要があるなど)であり、取得したい財産がある場合には必ずしも代償分割を行うことができるとは限らない点に注意が必要です。
しかし、実務上は、代償分割による方が、相続手続や条項化がシンプルになるため、共同相続人全員で合意することでよく活用される印象があります。
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