【会社側/飲食業】【残業代請求】退職した従業員からの高額な残業代請求を、請求額の約3分の1(約950万→350万)に減額した事案

依頼主 飲食業

相談前

数か月前に退職をした従業員から、代理人弁護士を通じて、残業代請求として約950万円を請求されているということでご相談に来られました。

相談後

先方代理人と交渉し、解決金として350万円の支払まで請求額を減額し、早期に合意することができました。

弁護士のコメント

(1)残業代請求における実労働時間

労働者側から請求される残業代請求は、労基法が規制対象とする労基法上の労働時間にあたるもの以外も含まれていることが多く、使用者側としては、まずこのような実労働時間について、労働者側の請求内容を検討することが有益です。
飲食業でも、よく問題となるのは、始業時間前の出勤、終業時間以降も残っていた時間、休憩時間が取れなかったとして休憩時間にあたる部分を実労働時間に含めているなどです。
本件では、とくに就業時間以後も、夕食をとったり、タバコを吸って談笑していたり、仮眠をとっていたり、荷物だけ置いて外出していたりするなど、店舗を離れるまでの間に、実労働時間にはあたらないと思われる時間が含まれていました。
そのため、これらの状況を裏付ける資料の収集や、終業時間後に行うべき作業の工程を整理し、過大な請求部分を交渉して減額することができました。

(2)固定残業代の設計

会社においては、一定の役職者や裁量が大きい従業員に、多少の残業が発生することも含めて残業代の意味も込めて役職手当をつけていたり、基本給を高くしていたりすることがあります。
しかし、固定残業代が有効であるためには、割増賃金の趣旨で支払われていること、所定内賃金と割増賃金部分を明確に判別できることが最低限必要と考えられています。
仮に、固定残業代が認められないとすると、残業代として払っていたはずの手当が残業代の支払いとみなされないばかりか、残業代の算定基礎となる基礎単価が上がってしまうという、いわゆる「ダブルパンチ」を受けてしまいます。
固定残業代の設計をする場合には、このような点に注意すべきです。

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